ゴールデンウィークも終わりに近づいたある日のこと
友人から約二ヶ月ぶりにケータイメールが届いた。
短いメールに添えられた一枚の写真に、
私の眼は釘付けになった。
嬉しい気持ちで、一杯になった。
その写真は、真新しい高校の制服を着た、友人の息子さん。
おしゃれなチェックのブレザーが、よく似合っている。
背は高く、色白で少し痩せている。
はにかんだ笑顔が、新入生らしくて初々しい。
実は、彼は小学低学年の時、転校先の学校で、不登校になってしまった。
はっきりとした原因は、親にも先生にも分からなかった。
新しい学校に、馴染めなかったからかもしれない。
音楽の時間に、リコーダーが上手に吹けなかったのを、からかわれたらしい。
少し乱暴な男子の友人に、ふざけてたたかれたこともあるそうだ。
「どちらかというと、真面目で大人しい性格の彼は、
失敗を笑い飛ばしたり、嫌なことをされても言い返せなくて
長い間苦しんだのではないだろうか」と、友人(お母さん)は、話してくれた。
お母さんも、辛かったと思う。
それでも、無理に学校に行かせるのではなく、辛抱強く彼を見守り続けた。
彼女は、学校のカウンセリングにも定期的に通い、
他の不登校のお母さんたちとも交流して話し合った。
ボランティアの大学生も月に数回訪問して、勉強を教えてくれた。
彼は、そんな周りの支えもあり、中学3年生になって
やっと、少しづつ学校に戻れるようになった。
そして去年の3月、見事私立高校に合格した。
早速、彼女にメールを出した。
(入学おめでとうございます。本当の春がやって来たね。)
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